“訳あり松葉がに”の産地直送イベント

今年も訳の分からないパフォーマンス合戦が繰り広げられましたね!

カニ一杯が500百万円!!

メディアは競って大々的に”出来レース”を流していますね・・・

松葉ガニ
初セリ、ご祝儀相場

私も百貨店内の鮮魚売り場だったので同じような事をしておりましたが、少なくとも”やらせ”の様な事はしなかったです。

毎年、松葉ガニに解禁の時には産地へ密着取材で出かけておりましたので、毎年苦労しておりました。

売り場で事前にお買い上げ頂くお客様をご用意したりも大変でしたが、毎年これを贈り物にして頂いている方もいらっしゃたので何とかなってはおりました。

ちなみに我々の頃は1杯5万円~10万円程度でしたが・・・

それでも大変でしたね。毎年こんな事ばかりしていても翌日から松葉ガニをお買い求め頂くお客様が大挙して来られる訳でもなく毎年、企画を考えるのにも正直ネタ切れで疲れておりました。

そんな事を考えていた2010年NHKの朝ドラで ”ゲゲゲの女房” が高視聴率を誇っており、これを受け百貨店の催事場で水木しげる展が開催され、それに伴って我々も水木しげるさんにちなんで ”境港フェア”を開催する事となり、境港へお伺いいたしました。この夏のイベントでは白いか(剣先イカ)を中心のイベントを行ったのですが、その時に産地の方から境港は松葉ガニの水揚げ量が圧倒的に多く、足折れ等のカニも沢山水揚げされる為、価格も安いとのお話を聞かせて頂きました。

松下奈緒さんと向井理さん

このお話を聞いて私が思いついたのが ”訳あり松葉がに”の販売でした。

これはある意味百貨店としてはご法度の戦略なんです!

百貨店で訳あり品を大々的に販売するというのはイメージを重要視する百貨店では無理なのですが、私がいた阪神百貨店はお客様が喜んで頂けるのであればという事でOKが出ました。

2010年11月6日は実は土曜日で境港の競り場は休業でしたメディアとして初セリを取材したいというのは当然です。しかし、我々の初日は一日遅れです。メディア側としては面白くないわけです。その上1杯うん万円ではないのですから・・・

広報の方からも ”なぜ?”を打ち出せないと取材は入らないとの事でした。しかし・・・私的には必ず勝てるという自信がありました。

しかし、これが販売戦略の肝なんです!!

なぜ、わざわざ一日ずらしてまでそこにこだわるのか?を伝えられると、弱みが強みに大きく変化するのです。

私が打ち出した理由とは?

”訳あり松葉がに”とは足が折れていたり、サイズが小さいが身の入りも良い、見た目は決して良くはないが、食べても大きなタグ付きにも負けない物で一般のお客様に喜んで頂きたいという想いで今年からスタートする企画である事を広報にお伝えして頂いたのです。

2010年11月7日早朝 境港の競り場で買い付けの作戦会議を行っていたところ広報の方から嬉しい知らせが入りました。 なんと全局が取材に来るという知らせでした。それからは大きく作戦変更です!!

産地仲買さんに「足折れの身入りの良いかには全て買えるだけ買って下さいとお願いし、結果約3000杯の訳ありガニを買って頂きました。その内の1000杯を生で持ち帰り、2000杯は現地でボイルして頂き翌日届けて頂く様にお願いし一路大阪へ

そして売り場に帰り販売開始と同時に振舞いカニ汁を作りました。

 ここが重要です!!

この時に他産地のタグ付きの大きなカニも前の日に用意してあったので、もったいないですが、この1級品と訳ありガニのカニ汁の食べ比べさせたのです。しかし、レポーターの方などの回答は既に私には見えているわけです。

どちらも味は変わりません!!

これには嘘偽りは全くありません!!その感想がTV局各局から流れるわけです。

翌日の開店の時は本当に凄かったです!!まさに脱兎のごとくでした!!

ちなみに販売価格は2杯で1500円(消費税別)でしたので約2000杯なので1000パックでしたが、開店15分後には「こちらのお客様で終了です!」でした。

開店15分で売り上げ150万円です!!これがメディアの力です。

そしてこの現象は約1ヶ月程続きました。そのため私が毎日多く買う為に浜の相場はじりじりと上がってゆきました。

この企画は私が退職したあとも続いており、年々価格も上昇しております。

私が思うブランド化とは生産者の方々の所得が持続的に増える事だと思っております。広告の為に札束で頬を叩く事ではないと考えています。

現在は、六次産業化プランナーとして全国様々な所へお伺いさせて頂きブランディング戦略についてご相談をお受けしますが、私は大きな広告費を掛ける事だけがブランド化ではないといつもお話させていただいております。

ブランド化を目指す方は是非ご連絡ください!!