日本一魚を売った男から見た、売れる店と売れない店の違い
昨日の読売新聞にこんな記事が料亭や居酒屋などに買ってもらって居たところが軒並み休業で単価が大幅に下がってしまい、一日漁に出ても売り上げは4万円程度で燃料代を支払うと、赤字になってしまう・・・
これは、大阪だけの問題ではなく全国的に起きている。
今の状況を考えるとしかたないのかな~?
しかし、飲食店などはダメでも売れている所はある。たとえばスーパーマーケットなどは良い所は前年対比で10%以上という所も多い。
この泉佐野の漁師さんの記事を見て、ふと昔を思い出した。
ちょうど、夏場に台風が連続して発生し、中央市場で魚を仕入れるがろくな魚がなく、どうしようか?と悩んでいた時に岸和田の仲買さんからの情報で「今日は泉佐野が出港しているから、競りに一緒に行かないか?」とのお誘いであった。
泉佐野漁港には一般の人でも買える青空市場と業者が競りで買うセリ場と二つに分かれている。
我々はセリ場で買うのだが、ここの競りは午後2時からスタートする。
私は電車の泉佐野駅まで、南海電車で行き、仲買さんに駅まで迎えに来て頂き、午後2時からの競りに参加する。
ここの競りは船が港に帰着した順にほとんど活きたまま競りにかけられる。
活きたまま持って帰っても店での処理が大変なので、競り落とすと私と仲買さんたちでどんどん活〆作業を行って行く。
約1時間程、色々な魚を仕入れそのまま阪神百貨店へGO!
店で販売スタートは午後4時くらいとなった。
普通なら、この時間と言えばまな板の人間はそろそろ、夕方の休憩をして、包丁を研いで、片付けようか?という時間である。
スーパーマーケットなどではそのあとそろそろ、20%引きのシールを張ろうか?という時間なのである。
こんな時間に魚を沢山持って帰ってきて「さあ、今から!」なんて業界人からすると、「お前、頭おかしいの?」となる。
現にまな板の連中からは大ブーイングの嵐!!
しかし、私は「それをするのが、お前らの仕事だろ!」とつかみ合いの喧嘩となった。しかし、私は全く意に介せずで販売スタート!
この時間から売れるかな?と心配しつつも魚をカゴのまま出して販売スタートしたところ、数分で黒山の人だかりとなった。
この時にずっと観察していると梅田という立地の特性だろうが、商売人の方々が夜の仕込みの材料として買っていかれる方が半数以上で一人で複数点買っておられた。
事前の私のイメージでは朝の鮮度の良い魚は仕事があって買えないが、仕事帰りの方が買って下さるという風に想像していました。
こういうニーズがある事を発見したので、泉佐野漁港直送便はかなりの回数おこないましたが、どんどん商売人さん達の間で口コミが広がりお客様から期待される。恒例イベントとなりました。
私は今でもよくこの話をさせて頂くのですが・・・
売れていない世間の常識の通りにやっていても売れない店になってしまう。
業界の常識をぶっ壊していかなければトップにはなれません!
こうした挑戦を続けて売れる店になって行くのです。
その今日はどんな事が起こるのか?というワクワク感を持ってお客様が来てくれる様になると、どんどん口コミが広がって行きます。
魚屋にかぎらず、客をワクワクさせる店って本当に少なくなってしまいましたね。
魚屋ってこんな事を季節ごとに色々出来る楽しいビジネスなのに、どうして誰も楽しもうとしないのか?いつも疑問に思っています。
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